始まりは5月15日のマドリードだった。
22日の地方選挙を目前に控え、折からの経済危機に抗議する大規模なデモが、
プエルタ・デ・ソル広場であったのだが、
その波がスペイン各地へ広がり、バルセロナにもやって来た。
デモの中心はバルセロナのおへそ、カタルーニャ広場だ。
今回のデモの特徴はなんといっても、その草の根的広がり。
連日数万人に及ぶ人々が広場へと集まっている。
バルセロナは 選挙直前の19日辺りからこの動きが本格化した。
今回は20-21日に撮影した写真をもとにこのブログをお送りする。
既存の労働組合などが主導となっているわけではなく、
FacebookやTwitterを活用して、人々が自発的に情報を流し、
デモへの参加を呼びかけるという現代的スタイル。
広場内にはメディア発信用のブースも設置されて、
活動の様子が逐一報告され、市民がいつでも情報を得られるようになっている。
一体何に抗議しているのかと言われると参加者の思うところは色々だ。
選挙前までの流れとしては、経済危機を乗り越えられない現与党にも失望し、
かといって、右寄りの最大野党はもってのほか、という思惑のもと、
既存の政治システムではみんな幸せになれない!代替のシステムを!
とにかく選挙で投票するのはやめよう!ってのが大まかなもの。
なにしろスペイン、ユーロ圏最悪の21%の失業率、
過去最高の490万人に達した失業者数を抱えておりますからね。
資本主義への憎悪が至る所で見え隠れする。
そんなんで、カタルーニャ広場には テントが貼られ、調理場や保育施設も登場。
掃除も自分たちで行い、寝泊まりして抗議活動を続ける人が大勢。
連日、非暴力的な形で集会や抗議運動が行われている。
私にとって何よりも興味深いのは、この抗議活動、
まさに「ゆりかごから墓場まで」の人々が参加していること。
ひとつのことにすべての世代が集うということ自体、日本では見たことのない光景。
赤ちゃんにおっぱいをあげながら意見を述べる母親、
熱く語る若者の姿にお年寄りが耳を傾ける、めったにないこと。
逆もしかり。
何にも頼れないとなったとき、自らが声をあげなければならない、
そしてそれを実行に移した結果がこのスパニッシュ・レボリューション。
「目の前の解決」という言葉に圧倒されて、
糸口の見えない議論をしたがらず、 足並み合わせてみんな黙る。
そういうのより、その先に何が待っているかはわからないけど、
とにかくみんなが意見を交換しあう場をつくる、聞く耳も持っている、
そのことに、デモクラシーの存在をはっきりと感じた。
コチラ、登壇する人の意見に賛成ならば手のひらを広げて揺らすゲスチャー。
逆に反対!早く次の人!というゲスチャーは拳を握ってぐるぐる。
デモ開始から27日に至るまで続いているCaceroladaといって、
鍋やらフライパンやらをしゃもじやお玉で叩いて鳴らしながら、
抗議の声をあげるというともの。
毎日21時〜、一時間程広場はこの音が響き渡る。
この運動はイラク戦争反対の時にもあった。
ちょうどその時期にバルセロナを訪れてこれを目にした私としたは、
なんとも懐かしい光景となった。そしてまだ健在だったことをうれしく思う。
夜の様子(21日深夜、2:30頃)。
「代替要素は可能でも不可能でもない、必要なのだ」というスローガン。
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「私たちに夢を見させてくれないなら、私たちは彼らを眠らせない」 |
この状態が、22日の選挙後もずっと続いていたのだが、
27日、残念ながらバルセロナでは大きな動きがあった。
そのことは次回につづく。